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むつごとを語りあはせむ人もがな
うき世の夢もなかばさむやと

歌の意味
睦言を語り合える人がいてほしいものだ。このつらい世の夢も半ば覚めるかと思って。
鑑賞
第一部 明石

 岡辺の宿に着いた源氏は、なかなか応じようとしない明石の君に対し、なおも言葉を尽くして語りかける。この歌はその場で詠まれたもので、恋の申し出というよりは、心を分かち合える相手を求める言い方になっている。明石の君はこれに返歌をし、この夜、二人は契りを結ぶことになる。

 「むつごと」は睦言のことで、親しい者どうしが交わす打ち解けた言葉である。「もがな」は願望を表す終助詞である。「うき世」はつらいこの世のことで、流離の身の上を指す。「夢もなかばさむ」は夢が半ば覚めるという意で、現実とも思われぬ配所の日々を夢にたとえている。恋の言葉でありながら、孤独からの救いを求める形をとっており、この時期の源氏の境涯がそのまま歌の内容になっている。

むつごと:睦言。親しい者どうしの打ち解けた言葉。
もがな:…があればよい。願望。
うき世:つらいこの世。
さむ:目が覚める。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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