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明けぬ夜にやがてまどへる心には
いづれを夢とわきて語らむ

歌の意味
明けることのない夜にそのまま迷い続けております心には、どちらを夢と区別して申し上げればよいのでございましょう。
鑑賞
第一部 明石

 源氏の「むつごとを」の歌を受けて、明石の君が返したのがこの歌である。相手の用いた夢の語を引き取りながら、自分にはそもそも夢と現の区別がつかないと述べている。身分の隔たりを思い続けてきたこの人物にとって、目の前の出来事そのものが現実とは思われないという含みがある。この一首の後、二人の関係が始まる。

 「明けぬ夜」は明けることのない夜のことで、闇の中にいる心の状態を表す。「まどへる」は迷い続けているという意である。「いづれを夢と」はどちらを夢と、という問いで、相手の歌の「夢」を受け直している。「わきて語らむ」は区別して申し上げようという意である。相手が夢から半ば覚めたいと述べたのに対し、覚めるべき現実がそもそも見えないと返しており、二首で夢の語を分け合う構成になっている。

明けぬ夜:明けることのない夜。
やがて:そのまま。
まどふ:迷う。
わく:区別する。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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