うちすててたつも悲しき浦波の
なごりいかにと思ひやるかな
- 歌の意味
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あなたを残して旅立つのも悲しいが、その後の浦波の名残がどうなるかと、思いやられることだ。
- 鑑賞
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第一部 明石
出立の暁、源氏は夜深いうちに宿を出るが、京からの迎えの人々が騒がしく、心も落ち着かない。それでも人目の途切れる隙を見計らって、この歌を明石の君に贈る。明石の君はこれに返歌をし、その内容を見た源氏は、こらえきれずにほろほろと涙をこぼす。事情を知らぬ人々は住み慣れた地を離れる感慨と受け取ったが、良清だけは源氏の執心を見抜いて憎らしく思うのであった。
「うちすてて」は見捨てての意で、相手を残していくことを表す。「たつ」は旅立つ意で、波の縁語として働く。「浦波」は入り江に寄せる波のことで、須磨巻から続く語である。「なごり」は波が引いた後に残る波跡のことに、自分が去った後の状況の意を重ねている。波の去来をそのまま人の別れに重ねる構成で、去る側が残る側の行く末を案じる形になっている。
うちすつ:見捨てる、残していく。
たつ:旅立つ。波の縁語。
浦波:入り江に寄せる波。
なごり:波が引いた後に残る跡。後に残る影響。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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