都出でし春のなげきにおとらめや
年ふる浦をわかれぬる秋
- 歌の意味
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都を出た春の嘆きに劣ろうか。年を経たこの浦を離れる、この秋の嘆きは。
- 鑑賞
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第一部 明石
入道の「世をうみに」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。忘れがたい筋もあるのだからいずれ真意も分かってもらえよう、ただこの住まいを見捨てるのが辛いと述べた上で詠み、涙を拭う。入道はいよいよ正気を失うばかりで、立つのも座るのもよろめくありさまであった。この後、母君や乳母までが嘆きを重ね、入道は遣水に転げ落ちて腰を痛めることになる。
「都出でし春」は須磨へ下った春のことで、須磨巻の出立を指す。「年ふる浦」は年を経た浦のことで、長年この浦に住んだ意と、年老いた入道を指す意とを掛けている。「わかれぬる秋」は別れることになった秋である。春の下向と秋の帰京とを対に置く構成で、須磨
明石の二巻にわたる流離の全体が一首の中で閉じられており、須磨巻の「都出でし」と対応する位置に置かれている。
都出づ:都を出る。
なげき:嘆き。
おとる:劣る。
年ふる:年を経る。「年古る」で年老いた意をも掛ける。
わかる:別れる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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