嘆きつつあかしのうらに朝ぎりの
たつやと人を思ひやるかな
- 歌の意味
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嘆きながら夜を明かす明石の浦には、その嘆きの息で朝霧が立っているだろうかと、あなたのことを思いやることだ。
- 鑑賞
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第一部 明石
明石から都まで見送ってきた人々が帰っていくのに託して、源氏は明石の君へ文を送る。紫の上の目を避けて引き隠しながら、こまやかに書かれたものであった。この歌はその文に添えられており、波の寄せる夜々をどう過ごしているかと問う言葉に続いている。この直後、五節の君からの文が届けられることになる。
「嘆きつつ」は嘆きながらという意である。「あかし」は夜を明かすことに地名の「明石」を掛けた語で、明石09以来この巻で繰り返し用いられてきた掛詞である。「朝ぎり」は朝に立つ霧のことで、嘆きの息が霧を引き起こすという万葉集以来の発想を踏まえている。相手のいる土地の名を、相手の夜のあり方を述べる語としてそのまま用いる構成で、遠く隔たった二人を一つの語で結んでいる。
嘆く:嘆息する。
あかす:夜を明かす。「明石」を掛ける。
朝ぎり:朝に立つ霧。
たつ:立ちのぼる。
思ひやる:遠くから案じる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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