かねてより隔てぬなかとならはねど
別れはをしきものにぞありける
- 歌の意味
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以前から隔てのない仲として親しんできたわけでもないが、それでも別れは惜しいものであった。
- 鑑賞
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第一部 澪標
明石で姫君が誕生したとの報せを受けた源氏は、田舎には確かな人もあるまいと考え、故桐壺院に仕えた宣旨の娘を乳母に選ぶ。父を亡くし荒れた家に細々と暮らしていたこの女は、思いがけぬ話を喜んで承諾した。出立の前、源氏は忍んでその家を訪れ、事情を説明したうえで戯れにこの歌を詠む。女はこれに返歌をする。
「かねてより」は以前からの意である。「隔てぬなか」は隔てのない親しい間柄のことである。「ならはねど」は慣れ親しんではいないがという意で、深い関係ではなかったことを断っている。「をし」は惜しい、手放しがたいという意である。親しくもなかったのに別れが惜しいという逆説の形をとった軽い戯れで、明石へ発つ女を引き留めるふりをしている。この後、澪標巻では明石と京とを往復する使者や乳母が繰り返し現れ、二つの土地を結ぶ役割を担うことになる。
かねてより:以前から。
隔てぬなか:隔てのない親しい間柄。
ならふ:慣れ親しむ。
をし:惜しい、手放しがたい。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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