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いつしかも袖うちかけむをとめ子が
世をへてなづる岩のおひさき

歌の意味
早くこの袖をかけて抱いてやりたいものだ。天女が世を経て撫でるという岩のように、末長い姫君の行く末よ。
鑑賞
第一部 澪標

 源氏は乳母の一行を明石へ送り出すにあたり、御佩刀をはじめ行き届いた品々を持たせ、口外を固く禁じたうえで親しい供人を添える。明石の君への文には、姫君を粗略に扱ってはならぬと繰り返し戒めの言葉が記されていた。この歌はその文に添えられたもので、まだ見ぬ我が子への思いを述べている。明石の君はこれに返歌をする。

 「いつしかも」は早く…したいという願望を表す。「袖うちかく」は袖をかけて抱くことである。「をとめ子」は天女のことで、三年に一度天女が舞い降りて羽衣で岩を撫で、その岩がすり減るまでを一劫とするという仏教説話に基づく。「岩」は姫君をたとえたもので、長寿と繁栄を祈る趣向である。賀の歌の型を用いて我が子の将来を祝う構成であり、この姫君がやがて后に立つという予言が背後にある。

いつしかも:早く…したい。
袖うちかく:袖をかけて抱く。
をとめ子:天女。
世をへて:長い年月を経て。
おひさき:将来、行く末。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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