うちつけの別れを惜しむかごとにて
思はむ方に慕ひやはせぬ
- 歌の意味
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急な出会いの別れを惜しむというのは口実で、本当はお思いの方をお慕いになるのではございませんか。
- 鑑賞
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第一部 澪標
源氏の「かねてより」の歌を受けて、乳母となる宣旨の娘が返したのがこの歌である。別れが惜しいというのは表向きで、本心は明石の方に向いているのでしょうと切り返している。源氏はこの慣れた物言いを見事なものと感心する。この後、女は明石へ下り、姫君の乳母として都と明石をつなぐ役割を果たすことになる。
「うちつけ」は突然の、その場かぎりのという意で、二人の関係が浅いことを述べている。「かごと」は口実、言い訳のことである。「思はむ方」は思いを寄せている相手のいる方角で、明石の君を指す。「慕ひやはせぬ」は慕うのではありませんかという反語である。相手の戯れをそのまま受け流さず、その本心を言い当てる形になっており、女房として鍛えられた当意即妙の応対がそのまま歌になっている。
うちつけ:突然の、その場かぎりの。
かごと:口実、言い訳。
思はむ方:思いを寄せる相手のいる方角。
慕ふ:恋しく思って後を追う。
…やはせぬ:…ではありませんか。反語。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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