水鶏だにおどろかさずはいかにして
荒れたる宿に月をいれまし
- 歌の意味
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水鶏が戸を叩いて驚かせてくれなければ、どのようにしてこの荒れた宿に月をお入れすることができましたでしょう。
- 鑑賞
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第一部 澪標
紫の上の機嫌を取っているうちに花散里からは足が遠のいていたが、五月雨のころの静かな時期に、源氏は思い立って三年ぶりに訪ねる。邸はいよいよ荒れ果て、恐ろしいまでに寂しげであった。まず麗景殿女御に挨拶をし、夜更けてから西の妻戸に立ち寄る。おぼろな月の差し入る中、近くで水鶏が鳴くのを聞いて詠まれたのがこの歌である。
「水鶏」は戸を叩くような声で鳴く鳥で、訪問者と聞き紛えるものとして古歌に詠まれてきた。「だに」はせめて…だけでもという意である。「荒れたる宿」は荒廃した自らの邸を指す。「月」は源氏をたとえている。恨み言を直接には述べず、水鶏の空耳でもなければ訪れはなかっただろうという言い方に転じており、この人物の控えめな詠みぶりがよく表れている。
水鶏:戸を叩くような声で鳴く鳥。
だに:せめて…だけでも。
おどろかす:はっと気づかせる。
荒れたる宿:荒廃した住まい。
月:ここでは源氏。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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