あらかりし浪のまよひにすみよしの
神をばかけてわすれやはする
- 歌の意味
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荒々しかった浪に翻弄されたあの折のことを思えば、住吉の神を心にかけて忘れることなどあろうか。
- 鑑賞
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第一部 澪標
惟光の「すみよしの」の歌を受けて、源氏が返したのがこの歌である。霊験があったものだと言い添える様子は、まことに華やかであった。この直後、惟光から明石の舟がこの騒ぎに圧されて通り過ぎてしまったことを知らされ、源氏は何も知らなかったと痛ましく思う。神の導きを思い出すにつけても他人事ではなく、せめて消息だけでもと考えることになる。
「あらかりし浪」は荒々しかった浪の意で、須磨の暴風雨の一件のみならず、須磨明石で味わった逆境の全体を指す。「まよひ」は翻弄されて行方を失うことである。「すみよし」は相手の歌の語をそのまま受け取っている。「かけて」は心にかけての意に、前の「まよひ」から続く縁語として働く。「忘れやはする」は忘れようかという反語である。従者の感慨に対し、主人が神への感謝として応じる構成になっている。
あらかりし:荒々しかった。
まよひ:翻弄されて行方を失うこと。
かけて:心にかけて。
忘れやはする:忘れようか。反語。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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