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降りみだれひまなき空に亡きひとの
天かけるらむ宿ぞかなしき

歌の意味
雪や霙が絶え間なく降り乱れるこの空を、亡くなった方が天翔けておられるだろうと思うと、その宿のさまが悲しく思われる。
鑑賞
第一部 澪標

 六条御息所が亡くなり、源氏は葬儀や法事のいっさいを取り仕切る。前斎宮のもとへは常に見舞いを送り、やがて前斎宮も自ら返事を書くようになった。雪と霙が降り乱れて荒れる日、どれほど心細く空を眺めておられるだろうと思いやり、空色の紙にこの歌を書いて使いを立てる。若い人の目に留まるようにと意匠を凝らしたものであった。

 「降りみだれ」は雪や霙が入り乱れて降ることである。「ひまなき」は絶え間のないことである。「亡きひと」は六条御息所を指す。「天かける」は空を翔けることで、死後四十九日の間は魂が元の家にとどまるという仏教の考えを踏まえ、この世と空の間を行き来する魂を述べている。荒天という外界の景を、亡き人の魂の在りようへと転じる構成であり、須磨巻以来の空を介した交信の型がここでも用いられている。

降りみだる:入り乱れて降る。
ひまなし:絶え間がない。
亡きひと:亡くなった人。
天かける:空を翔ける。
宿:住まい。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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