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消えがてにふるぞ悲しきかきくらし
わが身それとも思ほえぬ世に

歌の意味
消えることもできずに降り続く霙のように、生き永らえておりますのが悲しゅうございます。目の前も暗くなり、わが身がわが身とも思われないこの世に。
鑑賞
第一部 澪標

 源氏の「降りみだれ」の歌を受けて、前斎宮が返したのがこの歌である。返事をすることをひどく気後れしておられたが、女房たちが代筆では失礼にあたると責め立てるので、鈍色の紙に墨の濃淡を紛らわせて書かれた。遠慮がちな筆づかいはおおらかで、達筆というほどではないが、可愛らしく気品のある筋と見えた。源氏はこの人を養女として引き取り、やがて入内させることを心に決める。

 「消えがてに」は消えることができずにという意で、霙が地に落ちても消えきらないさまである。「ふる」は雪や霙が降ることに「経る」すなわち日を過ごすことを掛けている。「かきくらし」は目の前が暗くなることである。「わが身それとも」の「みそれ」に「霙」を掛ける説がある。消え
降る
かきくらしはいずれも霙の縁語で、相手の示した天候の語をそのまま自らの生に転じており、この人物が物語の中で初めて自らの声で詠んだ一首として重い位置を占めている。

消えがてに:消えることができずに。
ふる:降る。「経る」を掛ける。
かきくらす:目の前が暗くなる。
わが身それ:「霙」を掛けるとする説がある。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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