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玉かづら絶えてもやまじ行く道の
たむけの神もかけてちかはむ

歌の意味
玉かづらが絶えましても、お慕いする気持ちがやむことはございません。これから行く道の手向けの神にかけてもお誓い申し上げます。
鑑賞
第一部 蓬生

 末摘花の「たゆまじき」の歌を受けて、侍従が返したのがこの歌である。乳母の遺言は言うまでもなく、長年の辛い暮らしを共に過ごしてきたのに、思いがけぬ旅に誘われて遠くへ去ることになったと述べ、命のほどはわからないと言い添えた。叔母に急かされて車を引き出されながら、何度も振り返るのであった。この後、末摘花の邸には使い物にならない老女房ばかりが残り、雪に埋もれた冬を迎えることになる。

 「玉かづら」は相手の歌の語をそのまま受け取っており、贈答歌の作法が守られている。「絶え」は玉かづらの縁語である。「たむけの神」は道中の安全を守る道祖神のことで、旅立つ者の立場を示す。「かけて」も玉かづらの縁語として働きつつ、心にかけての意と誓いを掛けての意を重ねている。相手が縁の切れることを嘆いたのに対し、形は絶えても心は絶えぬと返す構成になっている。

玉かづら:蔓草。
絶ゆ:切れる。玉かづらの縁語。
たむけの神:道祖神。旅の安全を守る神。
かく:心にかける。誓いを掛ける。
ちかふ:誓う。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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