藤波のうち過ぎがたく見えつるは
まつこそ宿のしるしなりけれ
- 歌の意味
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藤波が通り過ぎがたく見えたのは、松が、そして待っていてくれる心が、この宿のしるしであったからなのだ。
- 鑑賞
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第一部 蓬生
邸に入った源氏は、便りもくれない恨めしさに今まで試していたが、松の木立のしるしを見ては通り過ぎることができなかったと述べる。末摘花はいつものように遠慮がちで、すぐには返事もできない。長く留まるのも場所柄はばかられるので、言葉を尽くして立ち去ろうとする際、自ら植えたものではないが高くなった松の年月に感じ入り、須磨明石の夢のような日々をも思い返しながら詠まれたのがこの歌である。末摘花はこれに返歌をする。
「藤波」は藤の花房が波のように揺れるさまで、門前で源氏の目を留めた景である。「うち過ぎがたく」は通り過ぎにくいという意である。「まつ」は松に「待つ」を掛けており、この一首の要となっている。「しるし」は目印、証のことである。躬恒の「ひき植ゑし人はうべこそ老いにけれ 松の木高くなりにけるかな」を踏まえ、木の成長した年月に、変わらず待ち続けた女の誠実さを重ねる構成になっている。
藤波:藤の花房が波のように揺れるさま。
うち過ぐ:通り過ぎる。
まつ:松。「待つ」を掛ける。
しるし:目印、証。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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