わくらばに行きあふみちをたのみしも
なほかひなしやしほならぬ海
- 歌の意味
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たまたま行き会った近江路の道を頼みに思ったが、やはり甲斐のないことであった。塩のないこの海には貝もいないのだから。
- 鑑賞
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第一部 関屋
石山からの帰り、迎えに参上した右衛門佐に源氏は空蝉への消息を託す。この弟は、須磨の騒ぎの折に世間の目を憚って常陸へ下った者であり、源氏は長年わだかまりを持ちながらも素振りには出さず、なお親しい家人の中に数えていた。先日は前世からの宿縁が思い知られたが、そうはお思いにならなかったかと述べ、この歌を贈る。空蝉はこれに返歌をする。
「わくらばに」はたまたま、まれにという意である。「行きあふみち」は行き会う道に「近江路」を掛けている。「かひなし」は甲斐がないという意に「貝」を掛ける。「しほならぬ海」は塩気のない海すなわち琵琶湖のことで、貝のいない湖という理屈で「かひなし」を導いている。逢坂の地名から近江、湖、貝へと連想を重ねる構成で、地理そのものを恨み言の材料にする機知が働いている。この後、源氏は関守すなわち常陸介が羨ましくいまいましかったとも書き添える。
わくらばに:たまたま、まれに。
行きあふみち:行き会う道。「近江路」を掛ける。
かひなし:甲斐がない。「貝」を掛ける。
しほならぬ海:塩気のない海。琵琶湖。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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