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わかれ路に添へし小櫛をかごとにて
はるけきなかと神やいさめし

歌の意味
あなたを伊勢へ送った別れ路に添えた小櫛、それを口実にして、遠く隔たった仲になれと神がお戒めになったのだろうか。
鑑賞
第一部 絵合

 前斎宮の冷泉帝への入内が近づき、中宮藤壺の催促のもと、源氏が親代わりとなって支度を整える。かねて前斎宮に懸想していた朱雀院は、意向を阻まれた形となって外聞を憚り消息も途絶えていたが、入内当日になって櫛の箱や薫物など世に類ないほどの品々を贈る。源氏が居合わせる中、女別当がその品を見せると、さし櫛の箱の飾花にこの歌が結ばれていた。前斎宮はこれに返歌をする。

 「わかれ路」は別れ道のことで、賢木巻の別れの櫛の儀式を指す。斎宮が伊勢へ下る際、大極殿で帝が斎宮の頭に小櫛をさし「都の方に帰りたまふな」と告げる儀式であった。「小櫛」はその折の櫛に、今贈る櫛を重ねる。「かごと」は口実、言いがかりのことである。「はるけきなか」は遠く隔たった仲の意である。十年以上前の一儀式の言葉を、遠ざけられた恨みの根拠として持ち出す構成で、賢木巻の一場面がこの一首を通じて呼び戻されている。

わかれ路:別れ道。伊勢下向の別れの櫛の儀式を指す。
小櫛:飾り櫛。
かごと:口実、言いがかり。
はるけし:遠く隔たっている。
いさむ:戒める、禁止する。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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