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身こそかくしめの外なれそのかみの
心のうちを忘れしもせず

歌の意味
我が身はこのように今は位を退いて注連の外にあるけれども、あの当時、あなたを思っていた心の内を、忘れることはない。
鑑賞
第一部 絵合

 帝の御前での絵合が催されると聞いて、朱雀院は梅壺の女御すなわち前斎宮に御絵を贈る。年内の節会を描いた巻に、延喜の帝の宸筆を添えたものや、自らの御代のことを描いた巻があり、その中に斎宮が伊勢へ下った日の大極殿の儀式が、格別に心をこめて描かせてあった。艶なる沈の箱に納め、大極殿の御輿を寄せた神々しい場面に添えてこの歌が記されていた。前斎宮はこれに返歌をする。

 「身こそかくしめの外なれ」は、わが身はこのように注連の外にあるの意で、「しめ」は神域を区切る注連縄のことである。斎宮が神に仕える身であったことと、朱雀院が今は位を退いて政の外にあることとを重ねている。「そのかみ」はその当時の意に、神の縁で選ばれた語で、斎宮下向の折を指す。「心のうち」は胸中の思いのことである。第1段の櫛の歌と同じく賢木巻の別れの櫛の儀式を背景に持ち、退位した院が斎宮への変わらぬ思いを絵に託して述べている。

身:わが身。
しめ:注連縄。神域の境。
その外:圏外。政の外。
そのかみ:その当時。「神」を掛ける。
心のうち:胸中の思い。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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