身を変へて一人帰れる山里に
聞きしに似たる松風ぞ吹く
- 歌の意味
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尼となって身を変え、ただ一人この山里に帰って来てみると、昔聞いたのに似た松風が吹いている。
- 鑑賞
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第一部 松風
明石の入道は、娘の明石の君とその母尼君、そして源氏との間に生まれた姫君を都へ上らせることを決意する。入道自身は明石に残り、一族は大堰川のほとりにある古い山荘へと移り住むことになった。この山荘はもともと尼君の祖父にあたる中務の宮が所有していた地で、荒れ果てていたのを改修したものである。年月を経てふたたびこの地に帰り着いた尼君が、周囲に吹く松風の音を聞いて、昔を思い出しながら詠んだのがこの歌である。
「身を変へて」は出家して尼となり、姿を変えたことを述べている。かつて都に住んでいたころとは境遇も身の上もすっかり変わってしまったという感慨がこめられている。「聞きしに似たる松風」は、昔この地で耳にしたのと同じような松風の音のことで、変わってしまった我が身に対して、松風だけは昔と変わらぬ音を立てているという対比になっている。歳月と流転を経てなお変わらぬ自然の音に、過ぎ去った日々への追憶が重ねられた一首である。
身を変ふ:出家して姿を変える。
山里:人里離れた山あいの住まい。
松風:松の木に吹く風。またその音。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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