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契りしに変はらぬ琴の調べにて
絶えぬ心のほどは知りきや

歌の意味
約束したときと変わらぬ琴の調べによって、絶えることのない私の心のほどを、あなたは分かってくれただろうか。
鑑賞
第一部 松風

 源氏はかねてより桂に営んでいた御堂の仏事を口実に都を出て、大堰の山荘に明石の君を訪ねる。久方ぶりの対面である。かつて明石の浦で別れて以来、時を経て再び相まみえた二人の間には、なお絶えることのない情がある。源氏が明石の君に琴を勧めると、彼女はためらいながらも爪弾く。その音色は、かつて明石で聞いたときとまったく変わらなかった。それに心を動かされた源氏が詠んだのがこの歌である。

 「契りし」は、かつて明石で再会を約束したことを指している。「変はらぬ琴の調べ」は、あのころ聞いたのと少しも変わらぬ琴の音色のことである。琴の調べが昔と変わらぬように、自分の心もまた昔と変わらず絶えることがない、と述べている。「知りきや」は、そのことをあなたは分かってくれていただろうか、という問いかけである。楽の音の変わらなさを、そのまま心の変わらなさに重ねる趣向によって、久闊を経てなお続く情愛が述べられている。

契る:固く約束する。
調べ:楽器の音色。調子。
絶えぬ心:途絶えることのない思い。
知りきや:分かっていただろうか。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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