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変はらじと契りしことを頼みにて
松の響きに音を添へしかな

歌の意味
変わるまいと約束してくださったことを頼みにして、松風の響きに、私の泣く声を添えていたのです。
鑑賞
第一部 松風

 源氏の「契りしに」の歌を受けて、明石の君が返したのがこの歌である。あなたが心変わりしないと約束してくださったこと、ただそれだけを頼りにして、あなたと離れていた長い年月を過ごしてきました、という思いが述べられている。控えめでありながら、深く源氏を慕い続けてきた明石の君の心情がにじみ出ている。

 「変はらじと契りし」は、源氏の歌の「契りし」を受けており、心変わりしないという約束のことである。「頼みにて」は、その約束だけを心のよりどころとして、という意である。「松の響きに音を添へし」は、松風の音に自らの泣く声を添えていたということで、待つ日々のつらさに、人知れず涙して過ごしてきたことを述べている。「松」に「待つ」を掛け、相手を待ち続けた心を松風の景に託した一首である。歌の贈答として、源氏の琴の趣向を受けつつ、待ち続けた者の側の思いを返している。

変はらじ:心変わりするまい。
頼み:あてにすること。心のよりどころ。
松:「待つ」を掛ける。
音を添ふ:泣く声を添える。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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