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雪深み深山の道は晴れずとも
なほふみ通へあと絶えずして

歌の意味
雪が深いので奥山の道は晴れないとしても、それでもやはり雪を踏み分けて手紙を通わせてほしい。足跡を絶やすことなく。
鑑賞
第一部 薄雲

 姫君を二条院へ手放すことを決めた明石の君は、雪や霰の降りしきる日々に心細さをつのらせていた。雪があたり一面を暗くして降り積もった朝、来し方行く末をひとつ残らず思い続け、いつもは端近に出ることもしないのに、汀の氷を眺めながら白い衣を幾重にも着て物思いにふけっている。落ちる涙を払って、こうした雪の日には姫君を手放した後どんなに心細いだろうと嘆き、乳母に向けて詠んだのがこの歌である。乳母はこれに返歌をして慰める。

 「雪深み」は雪が深いのでの意で、「深み」は原因を表す。「深山の道」は姫君の移る二条院との間を隔てる、雪に閉ざされた山道を思わせる。「ふみ通へ」は踏み分けて通えの意に、文すなわち手紙を通わせよの意を掛けている。「あと絶えずして」は足跡を絶やすことなくの意で、雪の上の足跡と、便りの絶えぬこととを重ねる。雪の深い山道という景を、母と娘を隔てる距離そのものに転じ、せめて便りだけは絶やさぬようにという願いを述べている。

雪深み:雪が深いので。
深山:奥深い山。
ふみ:踏み。「文」を掛ける。
あと:足跡。便りの意を掛ける。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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