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末遠き二葉の松にひきわかれ
いつか木高きかげを見るべき

歌の意味
老い先の長い、芽ばえたばかりの二葉の松のような幼い姫君と別れて、いつになったら木高く育った姿を見ることができるのだろうか。
鑑賞
第一部 薄雲

 雪が少し解けたころ、源氏が姫君を迎えに大堰へ訪れる。明石の君は、いつもは源氏を待ちわびるのに、この度は姫君を連れ去られると思うと胸がつぶれる思いであった。姫君は無邪気に車に乗ろうと急ぐ。車を寄せた所へ、母君みずから姫君を抱いて出てくる。姫君が片言のかわいらしい声で母の袖をつかみ「お乗りください」と引くのがたまらなく思われて、詠まれたのがこの歌である。最後まで歌いきれずに激しく泣くので、源氏はこれに返歌をして慰める。

 「末遠き」は行く末の長いの意である。「二葉の松」は芽を出したばかりの松のことで、幼い姫君をたとえる。松は長寿の木であり、これから育っていく子の象徴として選ばれている。「ひきわかれ」は引き離されての意で、袖を引く姫君の所作と響き合う。「木高きかげ」は木高く育った松の姿のことで、成長した姫君を見る日をいう。幼い松と成長した松とを対に置き、今別れれば次にその成長を見るのはいつかと嘆く構成で、母が子の未来を自らは見守れない悲しみが述べられている。

末遠し:行く末が長い。
二葉:芽を出したばかりの二枚の葉。
ひきわかる:引き離される。
木高し:木が高く育っている。
かげ:姿。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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