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しめのうちは昔にあらぬ心地して
神代のことも今ぞ恋しき

歌の意味
注連の内にいた昔とはもう違ってしまった心地がして、神にお仕えしていた神代のようなあの日々が、今こそ恋しく思われます。
鑑賞
第一部 絵合

 朱雀院の「身こそかく」の歌を受けて、前斎宮が返したのがこの歌である。お返事申し上げないのも畏れ多いので、心苦しく思いながらも、昔用いた御簪の端を少し折って、縹の唐の紙に包んで差し上げた。御使への禄なども優美であった。院はこれを御覧になり、限りなく心動かされて、過ぎ去った日々を取り返したいとまで思い、源氏をも恨めしく思われるのであった。

 「しめのうち」は注連の内すなわち神域の内のことで、相手の歌の「しめの外」と対をなし、斎宮として神に仕えていた身を指す。「昔にあらぬ心地」は昔とは違ってしまった気持ちのことである。「神代のこと」は神に仕えた斎宮時代を、神話的な過去になぞらえた言い方である。「今ぞ恋しき」は今こそ恋しいの意である。相手が注連の外にある身と詠んだのに対し、こちらは注連の内にいた昔を懐かしむ形で応じており、斎宮という神聖な過去を共有する二人が、その時代を軸に贈答を交わす構成になっている。

しめのうち:注連の内。神域。斎宮であった身を指す。
昔にあらぬ:昔とは違った。
神代:神に仕えた斎宮時代。
恋し:懐かしく思う。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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