行きて見て明日もさね来むなかなかに
遠方人は心置くとも
- 歌の意味
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行って逢って、明日にはきっと帰って来よう。かえって、あちらの遠方の人が気を悪くしようとも。
- 鑑賞
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第一部 薄雲
紫の上の「舟とむる」の歌を受けて、源氏がにっこり微笑んで返したのがこの歌である。あちらへ行っても明日には必ず帰ると約束し、たとえ明石の君の機嫌を損ねてもかまわないと述べる。やりとりの意味もわからず無心にじゃれあっている姫君を、紫の上はかわいいと見ており、そのために明石の君への当てこすりもすっかり許す気持ちになっていた。源氏は姫君をふところに入れて乳をふくませるなど戯れ、その姿は見どころが多かった。
「行きて見て」は行って逢っての意である。「さね来む」は必ず帰って来ようの意で、「さ」は強意、「ね」は完了の助動詞「ぬ」の命令形とも未然形ともされる。「なかなかに」はかえって、むしろの意である。「遠方人」は相手の歌の語をそのまま受け取っており、大堰の明石の君を指す。「心置く」は気を悪くする、へだてを置くの意である。相手が「遠方人」を引きとめる者として恨んだのに対し、その語をそのまま受けて、あちらが気を悪くしても必ず帰ると返す形になっており、贈答の機知が保たれている。
行きて見る:行って逢う。
さね:きっと、必ず。
なかなかに:かえって、むしろ。
遠方人:遠くにいる人。明石の君。
心置く:気を悪くする、へだてを置く。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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