人知れず神のゆるしを待ちし間に
ここらつれなき世を過ぐすかな
- 歌の意味
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人知れず神の許しを待っていた間に、あなたの冷淡な態度に耐えて、逢えないままの長い年月を過ごしてきたことだ。
- 鑑賞
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第一部 朝顔
藤壺の宮が亡くなったのと同じころ、源氏の叔父にあたる桃園式部卿宮も亡くなり、その娘である朝顔の姫君は賀茂の斎院を退いて邸に籠もっていた。源氏は若いころから朝顔に思いを寄せ続けており、この機に再び恋情が燃え上がる。叔母の女五の宮の見舞いにかこつけて桃園邸へ通いはじめた源氏は、喪中の姫君を訪ね、御簾ごしに宣旨を介して思いを訴える。斎院を退いた今こそ受け入れてほしいという気持ちをこめて詠んだのがこの歌である。しかし姫君は源氏の恋愛遍歴を見てきたため、心を許そうとはしない。
「人知れず」は人に知られないように、ひそかに、という意である。「神のゆるし」は、朝顔が斎院を務めていた間、神に仕える身ゆえ男女の仲が許されなかったことを踏まえ、その務めが解かれて神の許しが下ることをいう。「待ちし間に」は、その許しを待っていた間ずっと、ということである。「ここら」はこんなにも多く、長くという意で、「つれなき世」はあなたが冷淡なままの二人の間柄を指す。斎院という立場ゆえに逢えなかった長い歳月を、じっと耐えて過ごしてきたという源氏の恋の訴えである。斎院の職掌を「神のゆるし」に掛けて詠み込んだ趣向の一首である。
人知れず:人に知られないように。ひそかに。
神のゆるし:斎院の務めを解かれ、神に仕える禁忌から自由になること。
ここら:こんなにも多く。数多く。
つれなし:冷淡である。そしらぬ様子である。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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