見しをりのつゆわすられぬ朝顔の
花のさかりは過ぎやしぬらむ
- 歌の意味
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昔お逢いした時のことが少しも忘れられない、その朝顔の花の盛り――あなたの女盛りの美しさは、もう過ぎてしまったのだろうか。
- 鑑賞
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第一部 朝顔
訪問を冷たくあしらわれて心残りのまま帰邸した源氏は、その夜も眠れず物思いにふける。翌朝、御格子を上げさせて朝霧を眺めていると、枯れた花々の中に、あるかなきかに咲いている朝顔が目にとまる。その色あせた花を折らせて、姫君のもとへ贈り添えたのがこの歌である。かつて見た朝顔の花になぞらえて、あなたの美しさは衰えてしまったのだろうかと問いかけ、なお思い続けていることを訴えている。この巻の巻名「朝顔」は、この贈答歌に由来する。
「見しをり」は昔お逢いした折のことである。「つゆ」は少しもという意の副詞で、同時に朝顔にかかる「露」を掛けている。「わすられぬ」は忘れることができない、ということである。「朝顔の花のさかり」は、朝顔の花の盛りに、姫君の女盛りの美しさを重ねている。「過ぎやしぬらむ」は、もう過ぎてしまったのだろうか、という問いかけである。色あせた朝顔の花に、年を経た姫君の姿を重ね、なお忘れられぬ思いを託した一首で、贈られた花とともに姫君の心に届けられている。
見しをり:以前お逢いした折。昔の対面のとき。
つゆ:少しも。「露」を掛ける。
朝顔:むくげの古称。ここでは姫君をたとえる。
さかり:盛り。花や容色の最も美しい時。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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