いつのまによもぎがもととむすぼほれ
雪ふる里と荒れし垣根ぞ
- 歌の意味
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いつの間に、蓬の根がからみあうような場所となり、雪の降る古里となって荒れ果ててしまった、昔なじみのこの家の垣根であることよ。
- 鑑賞
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第一部 朝顔
源氏は、女五の宮の見舞いを口実に、雪の日、桃園の式部卿宮邸に出かける。門番がなかなか門を開けられず、錆びついた錠に手間取っている間、源氏は荒れ果てた邸のさまを眺めやる。昨日今日のことと思っていたのに、もう三年も昔になってしまったと世の移ろいを感じ、無常の世に仮の宿である現世を捨てきれず、木や草の色に心を移す我が身を思う。そうした感慨のなかで、口ずさむように詠んだのがこの独詠歌である。
「いつのまに」は、いつの間にか、という意である。「よもぎがもと」は蓬の根もとで、荒廃した邸の庭に生い茂る雑草の様子を表す。「むすぼほれ」は、草の根がからまり合ってふさがるさまである。「雪ふる里」は、雪の降る古びた里で、「ふる」に「降る」と「古(ふ)る」を掛けている。「荒れし垣根」は荒れ果てた垣根のことである。かつて親しんだ邸が、いつの間にか蓬の生い茂る荒れ果てた古里となってしまったという、時の移ろいと世の無常への感慨をこめた一首である。
いつのまに:いつの間にか。
よもぎがもと:蓬の根もと。荒廃を象徴する。
むすぼほる:草の根がからまり合う。ふさがる。
ふる里:古びた里。旧邸。「降る」と「古る」を掛ける。
垣根:邸を囲う垣。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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