身をかへて後もまちみよこの世にて
親を忘るるためしありやと
- 歌の意味
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生まれ変わった後の世で待って見ていてください。この世で、子が親を忘れるためしなどあるものかと。
- 鑑賞
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第一部 朝顔
源典侍の「年ふれど」の歌を受けて、源氏がやや気味悪く思いながら返したのがこの歌である。あなたが「親の親」と呼んだことにこだわるので、それを逆手にとり、生まれ変わった後の世まで待っていてごらんなさい、子が親を忘れることなどこの世にあるはずもないのだから、と応じている。相手の色めいた執着を、親子の縁という体裁にすりかえて、たくみにかわしている。老いてなお言い寄る源典侍を、源氏はうとましく思いながらも無下にはせず、「今にゆっくりお話ししましょう」と言い残して立ち去る。
「身をかへて」は、生まれ変わって、という意である。「後もまちみよ」は、その後の世でも待って見ていなさい、である。「この世にて」は、この現世において、ということである。「親を忘るるためし」は、子が親を忘れる例、ということで、源典侍が自らを「親」になぞらえたのを受けている。「ありやと」は、そんな例があろうか、いやありはしない、という反語である。あなたを親と思うなら忘れるはずもない、と言うことで、恋の申し出をやんわりとかわし、親子の縁へと話をすり替えた一首である。
身をかふ:生まれ変わる。
後:後の世。来世。
まちみる:待って様子を見る。
ためし:先例。前例。
ありやと:あろうか、いやありはしない(反語)。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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