年ふれどこのちぎりこそ忘られね
親の親とかいひしひと言
- 歌の意味
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年月が経っても、このご縁だけは忘れられません。あなたが「親の親」と、私を呼んでくださった、あのひと言を。
- 鑑賞
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第一部 朝顔
源氏が女五の宮のもとで昔語りを聞かされていると、そこへ古めかしい咳をして現れた老女がいた。かつて源氏が若いころ戯れに関係を持った源典侍で、今は尼となってこの宮の弟子となり、仏に仕えていた。七十歳を過ぎてなお生きていたことに源氏は驚く。源氏が「親なしに臥せる旅人」と自らをなぞらえて声をかけると、源典侍は昔を思い出し、老いてなお色めいた素振りで応じる。しみじみと物思いにふける源氏の様子を見て、心をときめかせて詠みかけたのがこの歌である。
「年ふれど」は年月が経っても、という意である。「このちぎり」は、源氏との昔の縁を指し、「こ」に「子」を掛けている。「忘られね」は忘れることができない、である。「親の親」は、かつて源氏が源典侍を戯れに「祖母殿」などと呼んだことを踏まえ、親のさらに親、すなわち年長の存在として扱われたことをいう。「いひしひと言」は、そう言ってくれたひと言、である。老いてなお、若き日に源氏と交わした戯れの縁を忘れられずにいる源典侍の、恋に執着する心を詠んだ一首である。
年ふ:年月が経つ。
ちぎり:約束。前世からの因縁。男女の縁。「こ」に「子」を掛ける。
忘らる:忘れることができる。
親の親:親のさらに上の親。年長者としての扱い。
ひと言:ひとつの言葉。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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