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こほりとぢ石間の水はゆきなやみ
そらすむ月のかげぞながるる

歌の意味
氷が閉ざして石の間の水は流れかね、澄んだ空の月の光ばかりが西へ流れてゆく――身動きできぬ私をよそに、あなたは。
鑑賞
第一部 朝顔

 雪の降り積もった夜、源氏と紫の上は御簾を上げて庭を眺め、亡き藤壺をはじめ、朧月夜、明石の君、花散里など、さまざまな女性を評しあう。源氏が前斎院(朝顔)への思いをほのめかすなか、紫の上は源氏の心が他へ移ることに不安を募らせる。月がいよいよ澄んでくるのを眺めながら、紫の上が胸の内をこめて詠んだのがこの歌である。表向きは冬の夜の景を詠みながら、掛詞を用いて、身動きできぬ我が身と、他の女性へ心を移す源氏への切ない思いを託している。

 「こほりとぢ」は氷が閉ざして、である。「石間の水」は石の間を流れる谷川の水で、これを我が身にたとえている。「ゆきなやみ」は、流れかねて滞る意で、「ゆき」に「行き」と「生き」を掛ける。「そらすむ月」は澄んだ空の月で、これを源氏にたとえ、「すむ」に「澄む」と「住む(=通う、結婚する)」を掛けている。「かげぞながるる」は月の光が流れゆく意で、「ながるる」に「流るる」と「泣かるる」を掛ける。氷に閉ざされて動けぬ石間の水のように身動きのとれぬ我が身をよそに、澄んだ月のように心が他へ移りゆく源氏を、掛詞に託して嘆いた一首である。

こほりとづ:氷が閉ざす。凍りつく。
石間の水:石の間を流れる谷川の水。
ゆきなやむ:流れかねて滞る。「行き」に「生き」を掛ける。
すむ:「澄む」に「住む」(通う
結婚する)を掛ける。
かげ:光。月光。
ながる:「流る」に「泣かる」を掛ける。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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