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とけて寝ぬねざめさびしき冬の夜に
結ぼほれつる夢のみじかさ

歌の意味
うちとけて眠ることもできず、目覚めれば寂しい冬の夜に、心がふさいだまま見た、あの夢の何と短かったことか。
鑑賞
第一部 朝顔

 源氏は御寝所に入ってからも亡き藤壺のことを思いながら休んでいると、夢ともつかず、ほのかに藤壺の姿を見る。宮はひどく恨めしげな様子で、秘密が漏れて恥ずかしく、苦しい目を見て辛いと訴える。源氏が返事をしようとすると何かに襲われる心地がし、傍らの紫の上に「どうなさったのです」と声をかけられて目が覚める。夢が途切れた無念さと悲しみに胸をふさがれ、涙を流しながら詠んだのがこの独詠歌である。

 「とけて寝ぬ」は、うちとけて安らかに眠ることができない、という意である。「ねざめさびしき」は、目が覚めたときの寂しさをいう。「冬の夜」は、寒々とした冬の夜である。「結ぼほれつる」は、心がふさぎこんで晴れない様子で、また夢が結ばれる意にもかかる。「夢のみじかさ」は、見た夢の短さ、である。恨みを述べる藤壺の夢がすぐに途切れてしまった無念を、寂しい冬の夜の寝覚めに重ね、亡き人への尽きせぬ思いを託した一首である。

とけて寝:うちとけて安らかに眠る。
ねざめ:眠りから覚めること。
結ぼほる:心がふさいで晴れない。また、夢が結ばれる。
夢:ここでは藤壺を見た夢。
みじかさ:短いこと。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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