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かきつめてむかし恋しき雪もよに
あはれを添ふる鴛鴦のうきねか

歌の意味
あれこれと昔が恋しく思われる雪もよいの夜に、いっそう哀れを添える鴛鴦の浮き寝の、悲しげな声であることよ。
鑑賞
第一部 朝顔

 紫の上の「こほりとぢ」の歌に続いて、源氏が詠んだのがこの歌である。外を眺めて少し顔を傾けた紫の上の姿が、亡き藤壺の面影にふと似て見え、源氏は他の女性に分けていた心を取り戻すほど心を動かされる。そのとき池の鴛鴦がふと鳴いたのを聞いて、昔恋しい雪の夜の哀感に、その声がいっそう哀れを添えると詠んだものである。過ぎ去った日々への追慕と、目の前の紫の上への思いとが、雪の夜の静かな景のなかに溶けあっている。

 「かきつめて」は、あれこれを一つに集めて、いろいろと、という意である。「むかし恋しき」は昔が恋しく思われる、である。「雪もよ」は雪の降りそうな空模様、雪もよいの夜をいう。「あはれを添ふる」は、しみじみとした情趣をいっそう加える、である。「鴛鴦のうきね」は、水の上に浮いて寝る鴛鴦の姿で、「うきね」に「浮き寝」と「憂き音(=悲しげな鳴き声)」を掛けている。昔を恋しく思う雪の夜に、鴛鴦の浮き寝の声が哀れを添えると詠み、過ぎし日々への追慕を静かな冬の景に託した一首である。

かきつむ:あれこれ一つに集める。いろいろと。
雪もよ:雪の降りそうな空模様。雪もよい。
あはれ:しみじみとした情趣。
鴛鴦:おしどり。仲むつまじい鳥とされる。
うきね:「浮き寝」に「憂き音」(悲しげな鳴き声)を掛ける。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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