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霜氷うたてむすべる明けぐれの
空かきくらし降るなみだかな

歌の意味
霜も氷もひどく責めるように結んでいる、夜明けの薄暗い空を、さらにかき曇らせて降る私の涙であることよ。
鑑賞
第一部 乙女

 雲居雁が内大臣邸へ去った夜、夕霧は自室に伏したまま、車の出てゆく気配を聞いていた。大宮の御前から呼ばれても寝たふりをして動かず、涙がとめどなく流れるまま嘆き明かす。翌朝、霜がたいそう白いころに急いで邸を出る。泣き腫らした目元を人に見られるのが恥ずかしく、また大宮にそばへ呼び寄せられそうなので、気兼ねのいらない二条院東院の勉強部屋へ向かったのである。道すがら、誰のせいでもなく自ら招いた悲しみなのだと心細く思いつづけていると、空模様もひどく曇って、まだ暗い。その折に詠まれたのがこの歌である。

 「霜氷」は霜と氷。「うたて」はひどく、情けなく、いっそうの意の副詞である。「むすぶ」は霜や氷が凝り結ぶ意で、同時に胸のふさがる思いをも響かせる。「明けぐれ」は夜明け前の薄暗さをいう。「かきくらし」はすっかり曇らせるの意で、涙で目の前が暗くなることをも重ねている。外の霜氷と暗い空という景が、そのまま内心の凍てつきと涙に重なり、「降る」の一語で涙と空模様とが一つになる。少年の失恋の嘆きを、冬の早暁の景色だけで言い切った一首である。

霜氷:霜と氷。
うたて:ひどく。情けなく。いっそう。
むすぶ:霜や氷が凝り結ぶ。胸がふさがる意を響かせる。
明けぐれ:夜明け前の薄暗いころ。
かきくらす:すっかり曇らせる。涙で目の前が暗くなる。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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