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をとめごも神さびぬらし天つ袖
ふるき世の友よはひ経ぬれば

歌の意味
かつての舞姫であるあなたも、今は神々しく年を重ねてしまわれたらしい。天つ袖を振って舞ったころからの古い友である私も、こうして年をとってしまったのだから。
鑑賞
第一部 乙女

 六位の浅葱の袍が不本意で参内も渋っていた夕霧も、五節にことよせて直衣を許され、宮中に上がった。今年の舞姫たちは例年より大人びており、なかでも源氏が奉った惟光の娘の器量が評判となる。源氏は参内して舞姫たちを御覧になるにつけ、須磨
明石のころに心をとめた筑紫の五節の姿を思い出された。五節の最終日である中の辰の日の夕方、その人のもとへ文を遣わす。年月の積もりを数えてふと湧いた懐旧の情を、抑えておくことがおできにならなかったのである。この歌を受けて、相手もまた昔をなつかしむ返歌を送ってくる。

 「をとめご」は五節の舞姫、少女のこと。「神さぶ」は神々しく古びる、年を重ねるの意で、五節が神事にかかわることを踏まえている。「天つ袖」は舞姫の袖を天女のそれに見立てた語で、「ふる」の枕詞として「袖を振る」と「古き」とを導く。「ふるき世の友」は昔なじみである源氏自身をいう。相手の老いを言いながら、同じだけ自分も年を経たのだからと結ぶところに、責めるのではない懐旧のやさしさがある。巻名の「乙女(少女)」は、この歌と、後に夕霧が詠む「日かげにも」の歌の「をとめご」に由来する。なお語り手は、こうして懐かしんだところで昔に戻れるわけではないと、その感慨のはかなさを添えて記している。

をとめご:五節の舞姫。少女。
神さぶ:神々しく古びる。年を重ねる。
天つ袖:天女の袖。舞姫の袖の見立てで、「ふる」を導く。
ふるき世の友:昔なじみの友。ここでは源氏自身。
よはひ経:年齢を重ねる。年をとる。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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