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日かげにもしるかりけめやをとめごが
あまの羽袖にかけし心は

歌の意味
日の光の下でも、はっきりお分かりになっただろうか。舞姫であるあなたの天の羽袖に心を寄せた、私の思いは。
鑑賞
第一部 乙女

 五節が終わって舞姫たちは退出したが、帝はそのまま宮仕えさせる意向であった。惟光は典侍に空きがあるので娘をとしきりに願い出て、源氏も骨を折ってやろうかと考えている。それを聞いた夕霧は、自分の年齢も官位もあまりに心もとないばかりに、あの娘を私にと願い出ることもできず、思っていることさえ知られずに終わるのかと悔しく思う。そこで、いつも側に仕えている舞姫の兄で童殿上の少年に、いつになくうちとけて頼み込み、緑の薄様に書いたこの文を届けさせる。姉弟が二人で読んでいるところへ父の惟光が寄ってきて手紙を取り上げるが、送り主が夕霧と知ると一転して笑顔になり、母君にも見せて、娘を宮仕えに出すより差し上げようか、明石の入道の例にもなろうかなどと言い出すのだった。

 「日かげ」は日の光と、五節の舞姫が冠にかける日蔭のかづらとを掛ける。「しるかりけめや」ははっきり分かっただろうかの意で、反語とも詠嘆とも読める。「をとめご」は五節の舞姫。「あまの羽袖」は天女の羽衣の袖で、舞姫の袖を天降った天女のそれに見立てた語である。「かけし心」は寄せた思いで、「日かげ」を「かける」に響かせている。筆跡はまだ幼いが将来が期待されると評されるとおり、掛詞の運びはすでに大人びている。先に神楽歌を借りて詠みかけた歌と同じ趣向を、今度は正式な文に仕立てて改めて贈った形であり、巻名「乙女(少女)」はこの歌の「をとめご」にも由来する。

日かげ:日の光と、舞姫が冠にかける「日蔭のかづら」とを掛ける。
しるし:はっきりしている。目立つ。
けめや:…であっただろうか。反語
詠嘆を表す。
をとめご:五節の舞姫。少女。
あまの羽袖:天女の羽衣の袖。舞姫の袖の見立て。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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