浮島を漕ぎ離れても行く方や
いづくとまりと知らずもあるかな
- 歌の意味
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浮島を漕ぎ離れても、行く先はどこが泊まりとも知れずにいることだ。
- 鑑賞
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第一部 玉鬘
豊後介は、監に敵対すればわずかな身じろぎも窮屈になり、かえってひどい目に遭うかもしれないと悩んだが、監の妻になるくらいなら生きていたくないと沈みこむ姫君のようすが忍びなく、思い切って夜逃げの計画を立てた。姉は身内が多くて離れられず、妹の兵部の君だけが供をして舟に乗る。長年住み馴れた土地とはいえ格別に見捨てがたいものもないが、ただ松浦の宮の前の渚と、姉との別れだけは、振り返らずにいられなくて悲しいのだった。監が肥後に帰り、四月二十日ごろと日を選んで迎えに来ようとする、その間隙を突いての出奔である。
「浮島」は周防大島のうちの地名とされ、「浮」に「憂き」を掛ける。つらい土地を漕ぎ離れても、という含みである。「行く方や」は行く先はどこかという問いで、「いづくとまり」は今宵どこに舟をとめるのか、ひいてはこの身の落ち着く先はどこなのかを問うている。地名の掛詞を軸に、当てのない船出の不安をそのまま言い切った一首である。姉と別れ、姫君ひとりに従って海に出た身の心細さが、島影を離れてゆく舟の景に託されている。
浮島:周防大島のうちの地名という。「浮」に「憂き」を掛ける。
漕ぎ離る:舟を漕いでその地を離れる。
行く方:行く先。
とまり:舟をとめる港。停泊地。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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