ふたもとの杉のたちどをたづねずは
ふる川のべに君をみましや
- 歌の意味
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二本の杉が立っている所を訪ねてこなかったなら、古川のほとりであなたさまにお目にかかることができただろうか。
- 鑑賞
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第一部 玉鬘
都に上った一行は、九条の市女や商人の行き交うあたりの粗末な宿に身を寄せ、頼るあてもなく秋を迎えていた。豊後介のすすめで石清水八幡宮に願ほどきをし、続いて長谷寺に参詣する。その途上、椿市の宿で、かつて夕顔に仕えた右近と偶然行き会った。右近もまた、行方の知れぬ姫君にめぐりあえるよう長谷の観音に祈り続けていたのである。三日の参籠のあいだに右近は乳母たちと積年の物語を交わし、いまは源氏に仕える身であることを語る。寺を出る折、参詣の人々を見下ろす高みから、前を流れる初瀬川を眺めて詠んだのがこの歌である。
「ふたもとの杉」は初瀬の名所で、『古今集』の旋頭歌「初瀬川古川の辺に二本ある杉年を経てまたも逢ひ見む二本ある杉」を踏まえる。長谷寺に参らなければこの再会はなかった、という感謝の心が、観音の霊験と重ねて詠まれている。「ふる川」は初瀬川の異称で、「古」を響かせ、長い年月を経ての再会をも示す。「君を見ましや」は反語で、お目にかかれただろうか、いや叶わなかっただろう、ということ。歌に添えて「うれしき瀬にも」と言うのも「祈りつつ頼みぞ渡る初瀬川うれしき瀬にもながれあふやと」を引いたもので、引歌を重ねて喜びを言い表している。
ふたもとの杉:初瀬川のほとりに立つ二本の杉。古歌に詠まれた名所。
たちど:立っている場所。
ふる川:初瀬川の異称。「古」を響かせる。
見ましや:お目にかかれただろうか、いや叶わなかった、という反語。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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