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知らずとも尋ねてしらむ三島江に
生ふる三稜のすぢは絶えじを

歌の意味
あなたが知らなくても、尋ねればわかるでしょう。三島江に生える三稜の筋が絶えないように、私たちの縁もまた絶えることはないのですから。
鑑賞
第一部 玉鬘

 六条院に戻った右近から、夕顔の忘れ形見を見つけたと聞いた源氏は、姫君を六条院に引き取ることを決める。実の父である内大臣には知らせぬまま、思わぬ所から尋ね出した自分の娘だと世間には説明しよう、好き者たちに気をもませる種として大切に世話をしようと、右近に語る。右近が、はかなく亡くなった方のかわりにお世話くださることこそ罪滅ぼしでしょうと釘を刺すと、源氏は苦笑しつつも涙ぐみ、夕顔ほど心にとどまる人はいなかったと語る。あの末摘花のように落ちぶれて育ってはいないかと気がかりで、まずは手紙の書きようを確かめたく思い、事務的な文面の末にこの歌を書き添えた。

 「三島江に生ふる三稜」は「すぢ」を導く序詞である。三島江は淀川中流の入江で摂津の歌枕、三稜は葉に筋の多い水草で、そこから「筋」を引き出す。「すぢ」は血筋
縁の意で、玉鬘の父内大臣と源氏は義兄弟にあたるから、あなたと私の縁も絶えはしない、という理屈である。ただし「絶えじを」の言いまわしには含みがあり、親子の縁を語っているようでいて、恋の文とも読めてしまう。相手の反応をうかがおうとする源氏の意図が、この曖昧さに透けて見える。

三島江:淀川中流の入江。摂津の歌枕。
三稜:水辺に生える多年草。葉に筋が多い。
すぢ:血筋、縁。「三稜」の葉の筋を掛ける。
絶えじを:絶えはしないのだから。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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