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恋ひわたる身はそれなれど玉かづら
いかなるすぢを尋ね来つらむ

歌の意味
恋いつづけてきたわが身は昔のままだが、この美しい娘は、いったいどのような筋をたどって私を尋ねてきたのだろうか。
鑑賞
第一部 玉鬘

 九月、姫君は六条院の夏の町、花散里の管理する西の対に迎えられた。その夜すぐに源氏が渡ってきて、几帳ごしに対面する。姫君は光源氏の名を昔から聞き知ってはいたが、わずかな燈火に照らされたその姿を垣間見て、恐ろしいまでの美しさに打たれた。源氏は少しも他人行儀にせず、まことに親らしく、長年行方を案じていたと涙を拭い、どうして打ち解けてくださらぬのかと恨み言をおっしゃる。姫君が蛭子の故事を引いて身の上を答える声は、亡き夕顔にとてもよく似て若々しかった。帰った源氏は紫の上に、思いのほか立派に育っていた、兵部卿宮ら好き者たちの心を乱してみたいものだと語り、硯を引き寄せて手すさびにこの歌を書きつけ、「あはれ」とひとりごちる。紫の上は、なるほど深く愛しておられた方の忘れ形見なのだとご覧になるのだった。

 「恋ひわたる」は長い年月にわたって恋いつづける意。「身はそれなれど」は我が身は昔のままだが、ということで、『後撰集』の「いづくとて尋ね来つらむ玉かづらわれは昔のわれならなくに」を裏返して踏まえている。「玉かづら」の「玉」は美称、「かづら」は蔓草、また髪に飾る蔓草の飾りで、蔓が伸びるところから「すぢ」を導く。この語によって巻名も姫君の呼び名も定まった。母を恋いつづけた歳月と、思いがけず現れた娘との縁とを、蔓草の筋一本にたぐり寄せている。親としてふるまいながら、そこに恋の名残がにじむところに、この後の玉鬘十帖の主題がすでに含まれている。

恋ひわたる:長い年月にわたって恋いつづける。
身はそれなれど:わが身は昔のままだが。
玉かづら:「玉」は美称、「かづら」は蔓草、また髪飾り。蔓が伸びることから「すぢ」を導く。
すぢ:縁、血筋。蔓草の筋を掛ける。
尋ね来:訪ね当ててやって来る。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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