した露になびかましかば女郎花
あらき風にはしをれざらまし
- 歌の意味
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木の下の露になびいてしまっていたなら、女郎花も荒い風にしおれることはなかっただろうに。
- 鑑賞
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第一部 野分
玉鬘の歌への返しである。源氏は続けて「なよ竹を見たまへかし」と言い添えた。なよ竹は風になびくから折れないのだ、という理屈である。夕霧は、自分がこんなに近くにいたと気づかれまいと思って立ち去ったので、詳しくは聞き取っていない。語り手も、聞き間違いであろうか、聞いて心地よいものでもなかったと突き放している。このあと源氏は花散里、明石の姫君の御方と見舞いを続け、夕霧は昨日から今日にかけて垣間見た女君たちを、桜、山吹、藤の花になぞらえながら、心を乱してゆく。
「した露」は木の下に置く露で、ここでは源氏が玉鬘を思う心をたとえる。「なびかましかば」は、なびいていたならばという反実仮想である。「あらき風」は玉鬘の歌の「吹きみだる風」を受けたもので、こちらでは自分以外の荒々しい男たちをさすことになる。私に従っておけば、他の男たちに苦しめられることもなかったのに、という言い分であって、玉鬘が自分をこそ「吹きみだる風」と呼んだのを、そしらぬ顔で別のものにすり替えている。同じ「女郎花」を用いながら、風の指すものだけを入れ替える技巧であるが、その巧みさが、そのまま身勝手さにもなっている一首である。
した露:木の下に置く露。ここでは源氏の思いをたとえる。
なびく:従う。心を寄せる。
ましかば…まし:…であったならば…であっただろうに。反実仮想。
あらき風:荒々しい風。ここでは他の男たちをさす。
なよ竹:しなやかな竹。風になびくので折れないという。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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