雪深き小塩の山にたつ雉の
古き跡をも今日はたづねよ
- 歌の意味
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雪の深い小塩の山に飛び立つ雉の足跡ではないが、昔の行幸の先例を、今日はたずねてみてほしい。
- 鑑賞
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第一部 行幸
源氏三十六歳の十二月、冷泉帝の大原野行幸が行われた。見物に出ない者はないほどの騒ぎで、六条院からも御方々が車を連ねて見物に出る。卯の刻に内裏を発ち、朱雀大路から五条大路を西へ折れて桂川のほとりまで、物見車が隙間なく並んだ。親王
上達部から五位六位の殿上人まで青色の袍に葡萄染の下襲をそろえ、鷹飼たちは見馴れぬ摺衣を思い思いに着て、雪がちらつく道の景色までが優美である。玉鬘も見物に出て、はじめて実の父である内大臣を目にするが、それ以上に赤色の御衣を召した帝の端麗さに見とれてしまう。野に着いて一同が装束を改めるころ、六条院から御酒や果物が届けられた。源氏は行幸への供奉を求められていたが物忌みを理由に辞退していたのである。その返礼に、帝が蔵人の左衛門尉を使いとして雉を一枝賜り、添えられたのがこの歌である。
「小塩の山」は大原野の西にある山で、この地の歌枕である。「たつ雉の古き跡」は、飛び立つ雉が雪に残す足跡に、昔の行幸の先例を重ねたもので、「跡」が両義に働く。太政大臣が野の行幸に供奉した先例があったかどうか調べてみよ、というのが表向きの意で、その裏に、なぜ来なかったのかという親愛のこもった催促がある。雉一枝という土地の獲物に、その土地の歌枕と雪の景を織り込んで贈るのだから、儀礼の歌として過不足がない。帝の歌がこうして源氏に贈られるところに、二人の特別な関係も静かに示されている。
小塩の山:大原野の西にある山。歌枕。
たつ:飛び立つ。
雉:キジ。この日の狩の獲物。
古き跡:雪に残る足跡と、昔の先例とを掛ける。
たづぬ:探し求める。調べる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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