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あかねさす光は空にくもらぬを
などてみゆきに目をきらしけむ

歌の意味
茜さす光は空に曇りなく輝いていたのに、どうして行幸の雪に目を曇らせてしまったのだろうか。
鑑賞
第一部 行幸

 紫の上との語らいのあと、源氏がふたたび玉鬘へ送った返事である。「やはりご決心なさい」と書き添え、その後も絶えず出仕をお勧めになる。そして、いずれにせよまず裳着をと思い定め、御調度の細やかな品々を加えさせて準備を進められた。六条院では何気ない儀式でさえ自然と仰々しくなるのに、まして今度は、この機会に内大臣へ真相を明かそうとまでお考えなのだから、支度はまことに見事で、あたりが狭いほどにととのえられてゆく。

 「あかねさす」は「光」にかかる枕詞である。「光」は玉鬘の歌を受けて帝をさす。「みゆき」もまた玉鬘の歌をそのまま受け、行幸と雪とを掛ける。「目をきらしけむ」は目を曇らせてしまったのだろうか、の意で、雪に目がくらんだという表向きの言い方の裏に、本当は見えていたはずでしょう、という追及がある。相手が反語で隠したのを、こちらは「などて」という問いで押し返す構えであって、養父としての勧誘でありながら、どこか恋の駆け引きに似た響きを帯びる。巻名「行幸」は、この一対の歌に詠まれた大原野の行幸に由来する。

あかねさす:「光」「日」などにかかる枕詞。
光:ここでは帝をたとえる。
くもらぬを:曇っていないのに。
などて:どうして。
みゆき:「行幸」に「雪」を掛ける。
目をきらす:目を曇らせる。よく見えなくする。
作者
紫式部
出典
源氏物語
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