たづぬるにはるけき野辺の露ならば
うす紫やかごとならまし
- 歌の意味
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たずねてみて、はるか遠い野辺の露であるならば、薄紫のゆかりということも、口実として言えたでしょうに。
- 鑑賞
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第一部 藤袴
夕霧の歌への返しである。玉鬘はひどく厭わしく気味の悪い気持になられたが、そうと悟られぬようにそっと奥へ引き入って詠んだ。そして「こうしてお話し申し上げる以上の、深い関係がどうしてございましょう」と言い添える。夕霧は少し笑って、浅いも深いもよくお分かりでしょうと応じ、押さえきれぬ心の内、柏木が実の姉と知って思いを鎮めたのがうらやましくねたましいことまで、こまごまと訴えつづける。姫君がしだいに奥へ引き入って迷惑そうにされるので、「妙に気分が悪くて」と言ってすっかり入ってしまわれ、夕霧はひどく嘆息して立ち去るのだった。
「はるけき野辺の露」は遠い野辺の露で、遠縁であることをいう。「うす紫」は藤袴の花の色で、そのまま「紫のゆかり」すなわち縁続きを意味する。「かごとならまし」は口実にもできたでしょうに、の意の反実仮想であって、実際にはそのような縁もないのだから憐れみをかける筋合いもありません、と切り捨てている。夕霧が「かごと」と言ったのをそのまま受け取り、その語ごと突き返す構えである。「はるけき」と言いながら、実は遠縁ですらないと含ませるところに、婉曲でありながら容赦のない拒絶がある。同じ喪服を着ながら、二人の間の距離はこの一首で確定する。
たづぬる:たずねてみると。血筋をたどると。
はるけし:はるかに遠い。
野辺の露:野の露。前の歌を受ける。
うす紫:藤袴の花の色。「紫のゆかり」すなわち縁続きをいう。
まし:…であっただろうに。反実仮想。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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