心さへ空にみだれし雪もよに
ひとり冴えつるかたしきの袖
- 歌の意味
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空模様ばかりか心までも乱れた雪の降りしきる夜に、独り寝の片敷の袖が、ひとり冷えきってしまいました。
- 鑑賞
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第一部 真木柱
髭黒の北の方は式部卿宮の長女で、紫の上の異母姉にあたる。長年物の怪に悩まされ、大将はしだいに疎んじるようになっていた。雪の降る夕暮、玉鬘のもとへ出かけようとする大将に、北の方はおだやかに支度を手伝い、香を焚きしめさせる。ところが出立の間際、突然起き上がって伏籠の下の香炉を取り、大将の背後から灰を浴びせかけた。細かい灰は目にも鼻にも入り、髪にも衣にも満ちて、そのままでは出かけられない。物の怪のしわざと女房たちは気の毒がるが、大将はすっかり疎ましくなる。一晩中の加持のあと、少し休んだ隙に玉鬘のもとへ届けた文が、これである。急に気を失った者があり雪もあって伺えなかった、と事情をごまかして書いてあった。
「心さへ空にみだれし」は、空模様ばかりか心までも乱れた、ということ。「雪もよ」は雪がしきりに降るさまをいう。「ひとり」に「火取」すなわち香炉を掛けるとされ、灰を浴びせられたあの香炉が言葉のうえに影を落としている。「かたしきの袖」は自分の袖だけを敷いて寝る独り寝の常套語である。白い薄様に書いたのも雪にちなむ配慮であるが、語り手は、重々しく書いてはあるものの格別に風情のあるところもない、字はさっぱりしていて漢学の才には長けた人であった、と評する。玉鬘は夜離れを何とも思っていないので返事もなく、大将は胸をつぶして一日を過ごすのだった。
心さへ:心までも。
空にみだる:空模様が乱れる意と、心がうわの空になる意とを重ねる。
雪もよ:雪がしきりに降るさま。
ひとり:独りと「火取」(香炉)とを掛ける。
かたしきの袖:自分の袖だけを敷いて寝ること。独り寝。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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