ともかくも岩間の水の結ぼほれ
かけとむべくも思ほえぬ世を
- 歌の意味
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とにもかくにも岩間の水が凍り結ぼれるように、私も気がふさいで、この家に留まっていられるとも思われない身の上ですのに。
- 鑑賞
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第一部 真木柱
中将のおもとの歌への返しである。木工の君は「さてさて」と言ってうち泣いた。やがて御車が引き出され、一行は邸を去ってゆく。北の方は梢にまで目をとめて、見えなくなるまで振り返っていらっしゃった。「君が住む」からではないけれど、幾年も過ごされた住まいが、どうして偲ばれずにいようか、と語り手は結んでいる。
「岩間の水」は中将のおもとの「石間の水」を受けたもので、そこに「言はず」を響かせるとされる。「結ぼほれ」は水を手にすくう意と、氷が結ぶ意、さらに気持ちがふさぐ意とを重ねている。「かけとむ」は留めておく意に、水面に映る「影」を掛け、これも相手の「かけはなる」に応じたものである。羨まれた側が、自分こそ大将にはもう顧みられず、この家にとどまっていられるとも思えないと言い返す形であって、去る者と残る者のどちらにも救いがないことを示す。水の縁語を一首も欠かさず引き継いだ唱和は、屋敷の崩壊をそのまま音にしたようである。
ともかくも:とにもかくにも。どちらにしても。
岩間の水:岩の間を流れる水。「言はず」を響かせる。
結ぼほる:水をすくう意、氷が結ぶ意、気持ちがふさぐ意を重ねる。
かけとむ:留めておく。「影」を掛ける。
思ほえぬ:思われない。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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