などてかくはひあひがたき紫を
こころに深く思ひそめけむ
- 歌の意味
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どうしてこう、灰も合わず、逢うこともかなわぬ紫を、心に深く思い染めてしまったのだろうか。
- 鑑賞
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第一部 真木柱
有明の月の明るい光に映えて、帝のお顔立ちはいいようもなく美しく、あの大臣と少しも違うところがない。こんな御方が二人もいらしたのだと玉鬘は拝見する。源氏の思いは浅くなかったものの厭わしい物思いも加わったが、こちらの帝がまさかよこしまなお心などお持ちであろうかと思っていると、まことにやさしげに、思っていたことと違ってしまった恨み言を仰せになる。顔向けもできず、扇で顔を隠して御返事も申し上げないでいると、帝は、妙にはっきりしないことだ、叙位のことなどからも私の気持ちは分かってくださっていると思っていたのに、と仰せになって、この歌を詠まれた。
「はひあひがたき」は染色で灰汁が合わないことをいい、そこに「逢ひがたし」を掛けている。「紫」は玉鬘をさす。この年、玉鬘が三位に叙せられ、紫の袍を許されたことが背景にあり、その紫がそのまま人を指す語となっている。「思ひそめけむ」の「そめ」は「染め」で、これも紫の縁語である。染料の話をしながら恋を言い、叙位の話をしながら思いを訴えるという二重仕立てであって、若い帝の言葉としてはずいぶん技巧が凝っている。続けて「濃くなりはつまじきにや」と仰せになるのも、色の濃さに関係の深まりを重ねたものである。
などてかく:どうしてこのように。
はひあひがたし:染色の灰汁が合いにくい意に「逢ひがたし」を掛ける。
紫:紫の色。ここでは三位を許された玉鬘をさす。
思ひそむ:思い初める意に「染む」を掛ける。
こくなる:色が濃くなる意に、仲が深まる意を重ねる。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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