心ありて風の避くめる花の木に
とりあへぬまで吹きやよるべき
- 歌の意味
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心あってか風も避けているらしい花の木に、鳥がいたたまれなくなるほどまで、笛を吹き寄せてよいものでしょうか。
- 鑑賞
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第一部 梅枝
柏木の歌に応えた夕霧の返しである。「情なく」と言い添えると、一同はどっと笑われた。続いて弁少将が詠み、やがて明け方になって宮はお帰りになる。御贈り物として、源氏ご自身の御料の直衣一領に、手をつけていない薫物二壺を添えて、御車に差し上げられた。
「心ありて」は、本来は心のないはずの風にまで心を認めた言い方で、花のあまりの美しさゆえに風も避けて吹かぬのだろう、という見立てである。「とりあへぬ」は手に取るものも取れぬほど余裕がないさま。「とり」に「鳥」を掛け、前の歌の「うぐひす」「ねぐら」に応じている。「吹きやよるべき」は吹き寄せてよいものか、という問いで、賞められた笛をみずから謙遜してみせる形である。風さえ遠慮する花の木に、笛の音で近寄るのは無粋でしょう、というのだから、賞辞をそのまま風雅の理屈で受け流す返し方であって、藤袴巻で語り手に不器用と評された夕霧が、ここでは座興の呼吸をよく心得ている。
心ありて:思いやりがあって。風に心を認めた言い方。
避く:避ける。よける。
花の木:花の咲く木。ここでは紅梅。
とりあへぬ:余裕がない。手も取れないほどである。「鳥」を掛ける。
吹きよる:吹いて近寄る。笛を吹いて近づく。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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