かすみだに月と花とをへだてずは
ねぐらの鳥もほころびなまし
- 歌の意味
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霞さえ月と花とを隔てずにいてくれたなら、ねぐらの鳥も、花のほころぶように鳴き出すことでしょうに。
- 鑑賞
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第一部 梅枝
弁少将の詠んだ一首である。この人は童であったころ、韻塞の折に「高砂」を歌った君で、声のよさで知られている。この夜も拍子をとって「梅が枝」を歌い出し、その声を宮が鶯になぞらえて詠み起こしたのであった。歌のうえでは夜明け前に鳥が鳴くと言いながら、実際に宮がお帰りになったのは明け方になってからである、と語り手はさりげなく書き添えている。
「かすみ」は月にかかる春の霞で、この夜が霞める月であったことを受ける。「月と花とをへだてず」は霞が月光と花とを隔てないことで、隔てがなければ花が明るく照らされる、という理屈である。「ねぐらの鳥」は柏木の歌の語を受け継いだもの。「ほころぶ」は花が咲きひらく意で、そこから転じて鳥が鳴き出すことをいう。花の語で鳥の声を言い当てるところが眼目であって、この夜の唱和が「鶯」「ねぐら」「花」の三語を順に受け渡しながら進んできた、その締めくくりにふさわしい。声の主が自分自身であることを、鳥に託して控えめに言っているのも一興である。
かすみ:春の霞。
へだつ:間を隔てる。遮る。
ねぐらの鳥:ねぐらにいる鳥。前の歌を受ける。
ほころぶ:花が咲きひらく。転じて、鳥が鳴き出す。
なまし:…てしまうだろうに。反実仮想。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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