つれなさはうき世のつねになりゆくを
忘れぬ人や人にことなる
- 歌の意味
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あなたのつれなさは、つらいこの世の常のものになってゆくのに、忘れられずにいる私だけが、世の人とは違っているのだろうか。
- 鑑賞
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第一部 梅枝
明石の姫君の入内の支度が着々と進むのを、内大臣は他人事として聞くにつけ、気がかりで物足りなく思っていた。雲居雁は女盛りにととのって美しいのに、所在なく沈みこんでいる。夕霧のほうも素っ気ない態度を崩さぬので、こちらから折れるのも世間の物笑いになろうと、内大臣はひとり思い悩んでいた。そこへ、中務宮が源氏に意向をうかがい、夕霧との縁組を双方で考えているらしいと女房が申し上げたので、内大臣はあらためて胸をつかれ、姫君の前で涙を浮かべて嘆かれる。姫君は恥ずかしさのあまり、わけもなく涙がこぼれて顔をそむける。父が立ち去ったあともそのまま端近くで物思いに沈んでいるところへ、夕霧からの文が届いた。細々と書かれたその末にあったのが、この歌である。
「つれなさ」はそっけなさ、冷淡さをいう。「うき世」は「浮き世」に「憂き世」を掛け、はかなくつらい世の中のことである。「うき世のつねになりゆく」は、あなたの冷淡さも世間並みの薄情さになってゆくということ。「忘れぬ人」は忘れずにいる者、すなわち夕霧自身をさす。「人にことなる」は世間の人とは違っているの意で、変わらぬのは自分ひとりかという嘆きになる。長い年月を隔てられてなお思いを絶やさぬ自分と、しだいに世の常に近づいてゆく相手とを対置した一首である。もっとも夕霧は縁談の噂をまったく知らずにいるのだから、この訴えは相手には冷淡としか映らない。
つれなさ:そっけなさ。冷淡さ。
うき世:「浮き世」に「憂き世」を掛ける。
つね:世の常。ありふれたこと。
忘れぬ人:忘れずにいる人。ここでは夕霧自身。
人にことなる:世間の人とは違っている。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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