なかなかに折りやまどはむ藤の花
たそかれ時のたどたどしくは
- 歌の意味
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かえって手折るのに迷ってしまうでしょう、藤の花を。黄昏時のおぼつかない薄暗さでは。
- 鑑賞
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第一部 藤裏葉
内大臣の招きの歌への返しである。長年ひそかに待ちに待っていた便りであるから、夕霧は心が躍る思いを抑えつつ、うやうやしく畏まってこの一首を申し上げた。そして「気おくれしてしくじってしまいました。どうかお直しください」と言い添える。使いの柏木が「お供いたしましょう」と言うと、夕霧は「やっかいな随身はご無用に」と言って帰した。そののち父源氏に事の次第を申し上げ、許しを得たうえで、源氏の見立てた立派な装束を賜って参上することになる。
「なかなかに」はかえって、なまじの意である。「折りやまどはむ」は手折るのに迷うだろうということ。「藤の花」は雲居雁をさし、これを手折る、すなわち妻に迎えることをいう。「たそかれ時のたどたどしくは」は黄昏時のおぼつかなさゆえに、ということで、内大臣の歌の「たそかれ」をそのまま受けている。招きの意向はありがたく受けとめながらも、はっきりとお許しをいただけたのかどうか薄暗くて確信が持てない、と応じた形であって、うれしさと不安の入りまじった心が、黄昏の暗さに託されている。「口惜しくこそ臆しにけれ」と自ら卑下してみせるところにも、この場の緊張と、なお慎重に構える夕霧の性分とがあらわれている。
なかなかに:かえって。なまじ。
折る:手折る。ここでは妻に迎える意を含む。
まどふ:迷う。ためらう。
たそかれ時:黄昏時。夕暮れ。前の歌を受ける。
たどたどし:おぼつかない。はっきりしない。
- 作者
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紫式部
- 出典
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源氏物語
- その他の歌
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